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3DCG制作の流れ

  

3DCGはどんな手順で制作されるのか

まずはじめに、3DCG制作の流れについて大まかに説明します。 これはBlenderを利用した場合に限ったことではなく、3DCG制作の一般的な作業の流れになります。

  
ここで説明する流れは、ソフトウェアを使用して行う作業についてのみ記述しており、企画・立案などの作業については触れていません。

ステップ 1 モデリングで形を作る

最初に行う作業は、モデリングと呼ばれる作業です。 モデリングは、物体の形状を作る作業です。 Blenderでは『メッシュ』と呼ばれる形状データを加工することでモデリングを行います

メッシュの構造
メッシュの構造

メッシュとは、形状を表す情報のことです。 メッシュは『頂点』の集まりであり、頂点と頂点が結ばれたものが『辺』です。 また、辺で囲まれた領域は『面』と呼ばれます。

なお、面はポリゴン(多角形を意味する言葉)とも呼ばれます。

  
Blender 2.63以降は五角形以上の面も扱えますが、それよりも古いバージョンでは三角形と四角形しか扱えませんでした。
  
Blenderでは物体のことをオブジェクトと呼びます。
  
オブジェクトには様々な種類があり、メッシュはオブジェクトの種類の1つです。
1. モデリング画像を拡大する
1. モデリング

上図はオニヤンマの体のモデリング作業を行っているところです。

ステップ 2 マテリアルで質感を表現

モデリング作業によって物体の形状が作られます。 しかし、物体は、形状だけで表現できるものではありません。 現実世界の物体は、輝き・色・透明度のように、形状以外にも外観を決定する要素を持っています。

3DCG制作では『マテリアル』で質感を設定します。 マテリアルとは物体の質感の設定情報のことで、モデリングしたメッシュにマテリアル設定を行うことで質感を表現します。 マテリアルは、色・光の反射/透過・テクスチャなどの設定項目を持ちます(テクスチャについては次の記事で説明)。

それらの設定項目を適切に設定することで、金属、木材、プラスティック、ガラス、肌、泥など様々な質感を表現することができます。

  
Blenderでは、メッシュの面単位でマテリアルを設定することができます。
2. マテリアルの設定画像を拡大する
2. マテリアルの設定

上図はモデリングしたオニヤンマの体にマテリアルの設定を行ったものです。

ステップ 3 テクスチャで模様を表現する

テクスチャとは物体に貼り付ける画像のことで、主に物体の表面の模様を表現するために使います。 2次元の画像をテクスチャとしてメッシュに貼り付けることで、模様を表現したり擬似的に凹凸を表現したりすることができます

テクスチャを貼り付けた例画像を拡大する
テクスチャを貼り付けた例

上図のように平面にレンガのテクスチャを貼り付けることで、(擬似的に)凹凸のあるレンガの壁のように見せることができます。 これにより、簡単な形状のメッシュを複雑な形状であるかのように表現することができるようになります。

  
テクスチャはメッシュに対して設定するものではなく、マテリアルに対して設定します。 メッシュにマテリアルを設定し、そのマテリアルにテクスチャを関連付けるという手順になります。
3. テクスチャの貼り付け画像を拡大する
3. テクスチャの貼り付け

上図はオニヤンマの体に貼り付けるテクスチャを用意しているところです。 灰色の枠は『UV展開図』と呼ばれるオニヤンマの体の展開図です。 このUV展開図によって、2次元の画像であるテクスチャのどの部分が3次元の情報であるメッシュのどの部分に対応づけられるかがわかります

ステップ 4 アニメーション設定で動きやポーズをつける

アニメーション設定は、物体に動きやポーズをつけるための作業です。 制作する3DCGがアニメーションである場合はもちろんですが、静止画の場合でもポーズをつける場合に使用することがあります

Blenderには様々なアニメーション作成機能が用意されており、エンジンの動作のような個々のパーツは変形しないアニメーションにも、動物の関節が動いた時の肉の盛り上がりのような変形するアニメーションにも対応することができます。

  
Blenderにはパーティクル(粒子)やソフトボディ(軟体)を扱う機能も用意されており、炎・風に揺れるカーテン・ゼリーなども表現することができます。
4. アニメーション設定画像を拡大する
4. アニメーション設定

上図はオニヤンマの脚にアーマチュア(骨格)を埋め込んでいるところです。 アーマチュア(骨格)を埋め込むことで、簡単にポーズを変えることができるようになります(アーマチュアを動かすと脚が追従して変形するようになります)。

ステップ 5 シーン設定(物体や光源・カメラの配置)

描きたい物体のモデリングやマテリアルの設定、テクスチャの貼り付けが済んだら、次にその物体を配置しなければなりません。 机の横に椅子を配置したり、タバコの横にライターを置いたり...という具合です。

ただし、物体の配置が済んだだけでは、完成した3DCGの画像を得ることはできません。 我々が物体を見ることができるのは世界に光があるおかげで、光がなければ黒い闇が広がるだけです。 現実の世界が太陽や照明で照らされているように、3DCG制作のための仮想的な世界にも光源を配置する必要があります。

Blenderでは、ポイントライト・太陽・スポットライト・エリアライトの4種類のライトを使用することができます。 また、Blenderではライトだけでなく、メッシュ自身を発光させることもできるようになっています

  
光源は、Blender 2.7系までは "ランプ" と呼ばれていましたが、2.8系からは "ライト" という名称に変わりました。
  
Blender 2.8系からはヘミライトは廃止されました。 Blender 2.7系ではヘミライトはきちんと実装されていたかったため、でしょうか。

対象物とライトの配置を終えても、まだ作業は終わりではありません。 視点となるカメラを配置する必要があります。 カメラは、3DCGを描画するための視点となるもので、本物のカメラのように画角を設定することができます。

  
Blenderでは複数のシーンを管理できるようになっています。 これは、アニメーションを作成する場合に複数の場面が必要になるという理由からです。
5. 対象物とライトとカメラの配置画像を拡大する
5. 対象物とライトとカメラの配置

上図はシーンにライトとカメラを配置しているところです。

ステップ 6 レンダリングで画像を生成

物体を配置し、光源となるライト、そして視点となるカメラの配置も完了すれば、次はいよいよレンダリングです。

レンダリングとは、座標や質感を与えられた物体を計算によって画像化することです。 ライトを光源、カメラを視点として陰影の計算を行い、マテリアルやテクスチャで物体の表面の質感・模様を計算します。

  
レンダリングはコンピュータに非常に高い負荷がかかる作業で、レンダリング中のコンピュータは他の作業には使えません(動作が遅すぎて使う気がしません)。 静止画であれば1度のレンダリングを行うだけですが、アニメーションの場合は1コマで1回のレンダリングを行うため多くの時間を費やすことになります。
6. レンダリング画像を拡大する
6. レンダリング

上図はレンダリングしたオニヤンマの画像(つまり完成した作品)です。

余談ですが、このオニヤンマの制作期間は約10日です。 3DCGを始めて4日目から作り始めた作品で、Blenderの勉強をしつつ制作したため10日も費やしましたが、慣れている人なら半日もかからないのではないかと思います。

  
このオニヤンマのCGはBlender 2.2系で制作し、その後、Blender 2.5系に合わせて調整したものです。 それをそのまま読み込み、光源の明るさなどは調整せずにレンダリングしています。 そのため、このようにBlender 2.8系 / 2.9系では暗くなっています。
  
  

まとめ

3DCG制作に関する用語と意味は以下の通りです。

用語 説明
面(ポリゴンとも呼ばれる) 三角形以上の面で、頂点および頂点を結ぶ辺で構成されている
メッシュ 頂点・辺・面の集まり
モデリング 頂点・辺・面を加工してメッシュを形作る作業
オブジェクト 物体のこと
マテリアル メッシュに設定する質感
テクスチャ メッシュに貼り付ける画像でマテリアルに関連付ける
アーマチュア アニメーションさせるための骨格
ライト 光源となる物体
カメラ 視点となる物体
シーン 物体、光源となるライト、視点となるカメラを配置した場面のこと
レンダリング 座標や質感を与えられた物体を計算によって画像化すること
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